ちょっと、合唱関連。
主に発声に関して。
「発声練習をちゃんとしましょう」
「発声に問題がある」
「声に響きがない」
「声が暗い」
合唱練習中によく言われる指摘です。
僕自身も20年も合唱をやってきて、別に発声を疎かにしたつもりはありません。
ただ、合唱をやっている誰もが悩んでいる通り、「発声」と「実際の演奏」との間の壁、というか、接点を見つけるのは決して容易な作業ではありません。
例えば、場面1。
Aさんは、大変な声量の持ち主で、いつも気持ち込めて、大きな声で歌っていました。
ただ、その歌声自体は、仲間や指揮者には評判が悪く、「Aさんがいないと、演奏は綺麗なのになぁ」なんていう愚痴を叩かれる始末。
Aさんも悩んでいましたが、すぐに技術が向上するわけでもないので、特に本番演奏時には、とにかく自分の気持ちを伝えるために、一生懸命歌いました。
ただ、あんま周りに迷惑を掛けてもいけないので、ボイストレーナーの指導に従い、大きな声で歌うことはあまりしなくなりました。
その後、数年経って、指揮者が言いました。
「数年前のAさんは、今、録音を聞くとすごいいいのに。何で、今はそんな風になっちゃったのかなぁ。」
Aさんは、一体自分がどうしたらいいのか、分からなくなりました。
続いて、場面2。
Bさんは、ボイストレーナーによる発声練習の時は、トレーナーの言われるがまま、綺麗な響きで歌うように心がけています。
綺麗な響きを維持しようと思うと、どうしても声量は落ちてしまいますが、トレーナーからはそれでいい、と言われ、いい気分です。
ただ、アンサンブル練習では指揮者から、
「もっと歌え!もっと!もっと!」
と言われます。
そして、ボイストレーナーに言われたことを忘れて、とにかく必死に歌ったところ、指揮者から、
「それでいいんだ。」
と誉められました。
Bさんは、一体自分がどうしたらいいか、分からなくなりました。
ありがちですね〜。
別に、両方僕、ってわけではないのですが。
実際、僕も、AさんやBさんのように悩んでいた時期がありましたが、実は、今はほとんど悩んでいません。
どうやって、悩みを解消したか?
答えは簡単です。
「悩まないようにした」
ただそれだけです
どういうことかって言うと、無理に発声とアンサンブルの接点を探るのをやめました。
発声は基礎技術。アンサンブルはその応用。
くらいの考えは持っていますが、それ以上具体的には考えません。
例えば、
「足し算、ってのは、前の数字に、次の数字を足すことですよ。」
ってのは、基礎ですね。
基礎問題であれば、「1+1」みたいな出題もあるでしょう。
ただ、例えば入試では、そんな問題は出ません。
「あつしくんは1,000円持ってます。あずさちゃんは500円持ってます。
二人が結婚したら、二人で使えるお金はいくらでしょうか?」
みたいな感じで、応用が利いてくるわけです。
単なる1+1ではなく、応用問題には、登場人物有り、お金あり、結婚あり、と様々な場面がくっついてくるわけです。
合唱もこれと一緒。
「1+1」。これは発声ですね。
「あ〜え〜い〜お〜う〜」「ドレミファソファミレド」
基本的には、同じことの繰り返しです。
ただ、曲になるとそれは全然違います。
音程・リズムはより複雑になりますし、大抵の曲には「歌詞」や「背景」なんかもあったりします。
そういった中で、「1+1」を全部忘れてしまってはいけませんが、いちいち「1+1」のことを気にしてなんぞいられないでしょう。
発声は、アンサンブル演奏を構成する、あくまでも1要素であって、決して唯一無二の要素ではないかな、と思います。
もちろん、「1+1」を分かってないと、応用問題は答えられないように、最低限のことは常に念頭にないといけないですがね。
まとめると。
発声練習では、発声のことだけ考えて、一生懸命やります。
アンサンブル練習では、アンサンブルの向上のことだけ考えて、一生懸命やります。
え?
じゃあ、アンサンブル練習で発声のこと言われたら、どうすんの?
って疑問が残りますよね。
その時は、その指示に従えばいいです。もちろん、具体的指示が指揮者からあればいいのですが、無い場合は、今の自分のどこがいけなかったのか、基本に立ち返ります。
基本に立ち返り、「あぁ、ちょっと胸が落ちてたな」とか、「下半身がふらついていた」とか、問題が分かれば、直せばいいのです。
もし、分かんなければ、「無視」です(^^;
無視は言葉が悪いですが、「気にしない」ってことです。
気にしてしまっては、いいアンサンブルが出来ません。
だって、解決策が分からないんだから。
(念のため、ですが、解決策を示してくれる指導者であれば、それに従えばいいのです。ここで言っているのは、「だめ。へたくそ。もっと上手に。」としか言えない指導者(そんな方はいないと思いますが・・・(^^;)の場合で、自分でも、解決の道が見えない場合)
繰り返しになりますが、別に発声がどうでもいい、って考えているわけではありません。
特に、アンサンブルでは、特に発声面で気をつけないといけない部分も、2つほど認識しています。
一つは、倍音。
多い、少ないではありません。
合唱は一人でやるものではないので、お隣の人と声を合わせる必要があります。
しかも、これって、中々合いません。
合わない原因が何かって、(特にベースの場合は)発声技術に依拠した倍音の相違、がほとんどです。
ある程度、技術を持った団員同士であれば、実音が互いにおかしいことはほとんどありません。
同じ音を出しているのに、何で合わないのだろう、って思った時に、気付いたのが、この倍音の相違でした。
学術的なことはmaipostaさんに任せます(^^;
分かりません。
ただ、特に感覚的に実音の高低ではなく、「何となくの違和感」を感じる時は、よ〜〜く聞くと、互いの倍音の中で、(特に人間の耳にきこえるくらいのレベルで)キリキリっぶつかってるんです。
これって、修正するのは、大変です。
実音ならまだしも、倍音の高低を操作出来る人って、いるんでしょうか・・・。
修正するためには、発声法を合わせるのが一番だと思います。
2つ目は母音。
これも、複数メンバーの声を合わす時、なのですが、母音の発声方法が違うと、全然合いません。
特に、い、とか、う、あたりは意見が割れることが多く、出し方が違うため、(上記、倍音問題も相俟って)、全然パートとして統一感がないように感じてしまいます。
この2つの問題を解決する方法は、やはり発声です。
ふう。
長くなりました。
まだまだ書きたいことがあるのですが、今日はこの辺で。
発声って奥が深いですね。
主に発声に関して。
「発声練習をちゃんとしましょう」
「発声に問題がある」
「声に響きがない」
「声が暗い」
合唱練習中によく言われる指摘です。
僕自身も20年も合唱をやってきて、別に発声を疎かにしたつもりはありません。
ただ、合唱をやっている誰もが悩んでいる通り、「発声」と「実際の演奏」との間の壁、というか、接点を見つけるのは決して容易な作業ではありません。
例えば、場面1。
Aさんは、大変な声量の持ち主で、いつも気持ち込めて、大きな声で歌っていました。
ただ、その歌声自体は、仲間や指揮者には評判が悪く、「Aさんがいないと、演奏は綺麗なのになぁ」なんていう愚痴を叩かれる始末。
Aさんも悩んでいましたが、すぐに技術が向上するわけでもないので、特に本番演奏時には、とにかく自分の気持ちを伝えるために、一生懸命歌いました。
ただ、あんま周りに迷惑を掛けてもいけないので、ボイストレーナーの指導に従い、大きな声で歌うことはあまりしなくなりました。
その後、数年経って、指揮者が言いました。
「数年前のAさんは、今、録音を聞くとすごいいいのに。何で、今はそんな風になっちゃったのかなぁ。」
Aさんは、一体自分がどうしたらいいのか、分からなくなりました。
続いて、場面2。
Bさんは、ボイストレーナーによる発声練習の時は、トレーナーの言われるがまま、綺麗な響きで歌うように心がけています。
綺麗な響きを維持しようと思うと、どうしても声量は落ちてしまいますが、トレーナーからはそれでいい、と言われ、いい気分です。
ただ、アンサンブル練習では指揮者から、
「もっと歌え!もっと!もっと!」
と言われます。
そして、ボイストレーナーに言われたことを忘れて、とにかく必死に歌ったところ、指揮者から、
「それでいいんだ。」
と誉められました。
Bさんは、一体自分がどうしたらいいか、分からなくなりました。
ありがちですね〜。
別に、両方僕、ってわけではないのですが。
実際、僕も、AさんやBさんのように悩んでいた時期がありましたが、実は、今はほとんど悩んでいません。
どうやって、悩みを解消したか?
答えは簡単です。
「悩まないようにした」
ただそれだけです

どういうことかって言うと、無理に発声とアンサンブルの接点を探るのをやめました。
発声は基礎技術。アンサンブルはその応用。
くらいの考えは持っていますが、それ以上具体的には考えません。
例えば、
「足し算、ってのは、前の数字に、次の数字を足すことですよ。」
ってのは、基礎ですね。
基礎問題であれば、「1+1」みたいな出題もあるでしょう。
ただ、例えば入試では、そんな問題は出ません。
「あつしくんは1,000円持ってます。あずさちゃんは500円持ってます。
二人が結婚したら、二人で使えるお金はいくらでしょうか?」
みたいな感じで、応用が利いてくるわけです。
単なる1+1ではなく、応用問題には、登場人物有り、お金あり、結婚あり、と様々な場面がくっついてくるわけです。
合唱もこれと一緒。
「1+1」。これは発声ですね。
「あ〜え〜い〜お〜う〜」「ドレミファソファミレド」
基本的には、同じことの繰り返しです。
ただ、曲になるとそれは全然違います。
音程・リズムはより複雑になりますし、大抵の曲には「歌詞」や「背景」なんかもあったりします。
そういった中で、「1+1」を全部忘れてしまってはいけませんが、いちいち「1+1」のことを気にしてなんぞいられないでしょう。
発声は、アンサンブル演奏を構成する、あくまでも1要素であって、決して唯一無二の要素ではないかな、と思います。
もちろん、「1+1」を分かってないと、応用問題は答えられないように、最低限のことは常に念頭にないといけないですがね。
まとめると。
発声練習では、発声のことだけ考えて、一生懸命やります。
アンサンブル練習では、アンサンブルの向上のことだけ考えて、一生懸命やります。
え?
じゃあ、アンサンブル練習で発声のこと言われたら、どうすんの?
って疑問が残りますよね。
その時は、その指示に従えばいいです。もちろん、具体的指示が指揮者からあればいいのですが、無い場合は、今の自分のどこがいけなかったのか、基本に立ち返ります。
基本に立ち返り、「あぁ、ちょっと胸が落ちてたな」とか、「下半身がふらついていた」とか、問題が分かれば、直せばいいのです。
もし、分かんなければ、「無視」です(^^;
無視は言葉が悪いですが、「気にしない」ってことです。
気にしてしまっては、いいアンサンブルが出来ません。
だって、解決策が分からないんだから。
(念のため、ですが、解決策を示してくれる指導者であれば、それに従えばいいのです。ここで言っているのは、「だめ。へたくそ。もっと上手に。」としか言えない指導者(そんな方はいないと思いますが・・・(^^;)の場合で、自分でも、解決の道が見えない場合)
繰り返しになりますが、別に発声がどうでもいい、って考えているわけではありません。
特に、アンサンブルでは、特に発声面で気をつけないといけない部分も、2つほど認識しています。
一つは、倍音。
多い、少ないではありません。
合唱は一人でやるものではないので、お隣の人と声を合わせる必要があります。
しかも、これって、中々合いません。
合わない原因が何かって、(特にベースの場合は)発声技術に依拠した倍音の相違、がほとんどです。
ある程度、技術を持った団員同士であれば、実音が互いにおかしいことはほとんどありません。
同じ音を出しているのに、何で合わないのだろう、って思った時に、気付いたのが、この倍音の相違でした。
学術的なことはmaipostaさんに任せます(^^;
分かりません。
ただ、特に感覚的に実音の高低ではなく、「何となくの違和感」を感じる時は、よ〜〜く聞くと、互いの倍音の中で、(特に人間の耳にきこえるくらいのレベルで)キリキリっぶつかってるんです。
これって、修正するのは、大変です。
実音ならまだしも、倍音の高低を操作出来る人って、いるんでしょうか・・・。
修正するためには、発声法を合わせるのが一番だと思います。
2つ目は母音。
これも、複数メンバーの声を合わす時、なのですが、母音の発声方法が違うと、全然合いません。
特に、い、とか、う、あたりは意見が割れることが多く、出し方が違うため、(上記、倍音問題も相俟って)、全然パートとして統一感がないように感じてしまいます。
この2つの問題を解決する方法は、やはり発声です。
ふう。
長くなりました。
まだまだ書きたいことがあるのですが、今日はこの辺で。
発声って奥が深いですね。